ウィリアム・モリス・ギャラリー
みなさん、こんにちは。
ご無沙汰しておりますが、お元気でお過ごしでしょうか。
私の住むパリでは、いよいよ6月15日よりCOVID19対策のために実施された欧州域内国境における移動制限(陸・空・海)の全てを解除する、ということになったようです。
夏のバカンスはフランス国内のみと思っていましたが、ヨーロッパ間も可能になったということですね。
でも解除したからと言って油断はできないと思っているので、
引き続き感染には注意して過ごしていきたいと思っています。
日本も東京アラートが解除され、ステイホームから職場復帰された方も多いのではないでしょうか。
長いお休みの後の勤務というのは、慣れるまで色々なかなか大変そうですが、
みなさん、大丈夫でしょうか。
私の方はというと、お客様もまだまだ少ないということもあり、
現在も週2、3日の勤務が続いております。
ウルトラモッドでの仕事はもちろん、楽しく幸せには変わりはないのですが、
やはり立ち仕事のため、週5勤務では結構疲れてしまい、通常勤務の際は刺繍の時間がなかなか取れませんでした。
なので、現在のようなシフトですとリハビリというか、刺繍の時間もまだキープできているため、
とてもバランスがいいんです。笑
とにかく世界はこんな特別な事態になってしまった2020年。
自由に海外旅行を楽しむのもまだ少し先になりそうですね。
そこで、今日はこのコロナ騒ぎが本格化するギリギリのタイミングで訪れたロンドンの
ウィリアム・モリス・ギャラリーをプチトリップ気分でご紹介したいと思います。
当初の予定では、3月14日、15日の2日間を1泊2日で友人のいるデンマークに旅行に行く予定でした。
しかし前日にデンマークがロックダウンしたという情報を受け断念。
こんな時期なので旅行はしない方が良かったのですが、コロナ感染のリスクよりも、旅行に行きたい気持ちが勝ってしまい、 まだロックダウンしていなかったロンドンへ急遽予定を変更して行ってきたのでした。 (今は自覚が足りなかったと反省しております。。。)
いつもはユーロスター(電車)を使用する私ですが、
今回はデンマークからのチケット変更のため「easyJet」 という格安航空券にて、
シャルルドゴールから飛行機を利用しました。
到着した空港はロンドン市内から50キロほど離れたところにある、
ロンドン・ルートン空港。
そこから電車でロンドン市内まで移動。
今回の旅の目的はただただアートに触れたい、だったので、
前から行ってみたかったウィリアム・モリス・ギャラリーに直行しました。
約3年ぶりのロンドン。やっぱり街の色使いや雰囲気もパリとは全然異なります。
私が感じるロンドンのイメージは、やっぱり赤が基調となっていて、
少しポップで、そしてどこか品が漂うジェントルマンな雰囲気。
昔はアメリカかぶれだったので、憧れなども特になかったクイーンズイングリッシュも、 今は響きに品があって、そしてなんだか可愛らしく感じます。
私にとってロンドンは、歳を重ねるごとにどんどん好きになっていく街です。
電車でロンドンに到着後、地下鉄チューブに乗って、目的地に一直進。
チューブに25分くらいは乗っていたでしょうか、ロンドン中心地から少し離れたところにギャラリーはありました。
Walthamstow Central Station (ウォルサムストー セントラル)駅に到着すると、ギャラリーまでは徒歩12分程度。
ビクトリアンハウスが続く住宅地を歩いていくとあっという間にウィリアムモリスギャラリーに到着。
そこは公園にもなっていて、その日は土曜日だったこともあり、小さなマーケットが開催されていました。
お腹も空いていなかったので、マーケットを通り抜け、いよいよギャラリー到着です。
イギリスのとにかく素晴らしいところは、どんな美術館や博物館でも基本は入場料無料なところです。
普通なら大抵、パリでいうなら1館につき、8ユーロ〜12ユーロくらいはするため、
いくつかハシゴしたりすると費用もまあまあ馬鹿にできない金額になります。
ロンドンでは、大英博物館ですら無料です。初めて知ったときは本当にびっくりして、
今回もそんなことをすっかり忘れて払おうとすると、「無料ですよ」と親切そうな受付のお兄さんに言われました。
ホテルに荷物を置くことなく訪れた私だったので、
コロコロのついたキャリーバッグを持っていたのですが、それも受付で預かってくださいました。
それではいよいよ、ウィリアム・モリス・ギャラリー拝見です!
ウィリアム・モリス
が、その前にウィリアム・モリスについて、簡単に少しご紹介。
彼は1834年3月24日〜1896年10月3日(62才)、イギリス産業革命の最中に生きた19世紀を代表するデザイナーです。
彼は元々裕福な家庭に生まれ育ち、聖職者になることを志しますが、学生時代のフランス旅行をきっかけに芸術家を志望するようになったそう。
モリスの家族写真
そんな彼は「モダンデザインの父」と呼ばれるようですが、デザイナーの他、詩人の顔も持ち、またマルクス主義者として、民主連盟にも積極的に参加していました。
モリスの手掛けた、活字も全てが美しい書籍
モリスは中世に憧れており、産業革命によって大量生産された商品が溢れ、かつての職人はプロレタリアート(賃金労働者階級)となり、労働の喜びや手仕事の美しさなどのクラフトマンシップが失われてしまうことにとても危機感を抱いていました。
そんな中、モリス商会(Morris & Co.)を設立。作り方や使用する染料までも妥協をしない丁寧なものづくりで、インテリア製品や美しい書籍などを多く作り出しました。そんな彼の生活を芸術と一致させようとするモリスのデザイン思想とその実践は、「アーツ&クラフツ運動」として、各国に大きな影響を与え、20世期のモダンデザインの源流になったと言われています。
と、ここまで詳しく知らない人でも、一度は彼の自然をモチーフとしたテキスタイルはみたことがあるのではないでしょうか。私も彼の草花モチーフの優しい雰囲気のテキスタイルの大ファンです。眺めているだけでうっとりしてしまいます。
それでは、今度こそギャラリー本番?です。
「クレイ」。どうして名前がクレイなんだろう?モチーフはカーネーションかな?
美しいモリスの妻、ジェーン・モリスがモデルの絵画
モリスは妻のジェーンと共に刺繍も楽しんでいたようで、これは二人で作ったものだそう。見にくいけれどすごく細かな刺繍です
「格子垣」。モリス、初めての壁紙のデザイン画
Morris & Co.の商品ディスプレイ
「ひなぎく 」。可愛い♡♡
このデザインもよくみますね!
プリントに使用する木型
モリスは織物のデモストレーションなんかも行っていたようです。その時の様子を描いた絵
モリスの織物
セラミックも作っていました。素敵♡
植物モチーフが美しい、モリスが手掛けた教会のステンドグラス
有名な「いちご泥棒」
モリスが幼い頃から持っていた植物図鑑のコピー
これは大作ですね。いろんなモチーフが可愛くて、ガン見してしまいました。笑
ギャラリーの窓から見える外の景色
ギャラリーの裏に広がる公園の様子
ショップコーナーで見つけたポーチ。可愛かったけど結局買いませんでした
いかがでしたでしょうか。
少しは旅行気分を味わっていただけたとしたら、大満足です。
私も彼のように刺繍に愛情と情熱を持ってこれからも向き合っていけたら幸せだな、と思います。
この旅行からもうすぐ3ヶ月。
この旅行の後から、世界がガラッと変わってしまい、
もはや遠い昔のように感じます。
まだまだ不安も多くありますが、上手に息抜きをして
過ごしてまいりましょう。
ではまた!
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